1986年(昭和61年)6月18日(水)の今日、
東急田園都市線開通20周年記念イベントの一貫として伊豆急行株式会社の「リゾート21」号が田園都市線を走りました。(6月22日(日)までたった5日間)
でもこの企画は大変なできごとでした。
どこが大変だったのか?調べてみました。
その一部をご紹介します。
Thanks Watanabe |
(公共性という障壁)
鉄道事業はその公共性から民営化されても多くの法律に埋もれながら現在も一部硬直化している分野です。
(だから安全であるということもあるのですが、
ここでは公共事業についての言及は避けますね)
この1986年(昭和61年)の企画は、同じ東急グループとはいえ伊豆急行株式会社の車両を田園都市線で走らせてしまうという途方もないものでした。
伊豆急は東急(五島慶太)の夢の出発点でした。
同じ五島の夢“田園都市構想”の実現の場だった「田園都市線」に「リゾート21」号が走ることは大変感慨の深い出来事だったと思います。
http://ja.wikipedia.org/wiki/多摩田園都市
http://ja.wikipedia.org/wiki/東急田園都市線
リゾート21
http://www.izukyu.co.jp/dennsya/r21/index.html
(何が大変なのか)
他社の軌道上を別企業の車両が走る
(しかも荷物として)走るのは大変面倒なことです。
特に当時はまだ国鉄時代でしたから交渉にも時間がかかったと思います。
まあ分割民営化直前※参照で<柔軟>だったのかな?
鉄道会社は基本24時間365日不眠不休の事業ですから、空いた時間に電車を走らせることは簡単なことではありません。
なにせバス停の位置を数m移動させるにもものすごい手続きが必要な時代でした。
しかも、使用したい車両は伊豆の「リゾート21」号です。
が実際は、
この車両伊豆から運んだのではなく、
「京浜急行金沢文庫駅」に隣接する「東急車輛製造株式会社(現在の総合車両製作所)」で製作された、
できたて「リゾート21」を「長津田駅」まで“京急”と“国鉄”の路線を使って運んだ次第です。
これが今考えても ぞっとするくらい 現場は大変なことだったんです。
(金沢文庫から長津田の長い旅)
さあどうやって運んだのでしょうか?
線路はつながっていますから 線路を使って運べば良いのですが、
二つの大きな問題がありました。
一つは軌間の問題です。
軌間とはレールの幅です。
この話しも前段が長いのですが簡単にいえば、日本は(電力以上に複雑)標準軌、狭軌の2規格が存在します。
■標準軌
日本では新幹線、主に関西の私鉄、路面電車、多くの地下鉄路線
京浜急行はこの標準軌です。因みに横浜市営地下鉄も標準軌です。
■狭軌
軌間が1,067 mm (3ft6in) 規格がJR(旧国鉄)在来線、東京近郊私鉄、地下鉄で東急田園都市線はJRと同じ規格です。
(もう一つ規格がありますがここでは触れません)
軌道規格を図にしました。 |
【解決は神武寺にあり】
京急金沢文庫にある車両工場では“全国の車両”を取り扱っています。ということは様々な軌道規格に対応している秘密があるにちがない。
ありました。
京急の「標準軌」から国鉄JRの「狭軌」に繋がる場所があります。
京急逗子線の「神武寺駅」です。
駅構内からJR横須賀線に軌道が繋がっています。
ここで軌道変更が可能になっています。
(お荷物!)
運びたい車両「リゾート21」は“貨物扱い”で運ばれました。
ちょっとややこしいのですが、
国鉄(JR)路線は、貨物列車が通ることが出来る路線が(現在でも)決まっています。
単純に旅客線路を最短距離にというような選択ができません。
結果
「リゾート21」は、(お荷物として)下記の長い旅をしました。
青線が最短距離、貨物線を使うと赤線ルート |
●スタート
金沢文庫工場→京浜急行逗子線→(神武寺駅)→国鉄(JR)横須賀線逗子駅→大船駅→根岸線に入り磯子経由桜木町から貨物専用線に。
MMの脇を抜けるJR貨物線 |
マリノススタジアム前を通過する日石のタンク車 |
国鉄(JR)貨物線「新興駅」経由
JR貨物新興駅付近(新子安近く) |
鶴見操車場→現在の武蔵野線路線で北上します。
(え!武蔵野線?)
武蔵野線の営業区間は鶴見駅から千葉県船橋市の西船橋駅までです。
現在は、府中本町から西船橋駅まで開通していますが、路線は貨物線として「鶴見ー府中本町」間が繋がっています。
先を急ぎます。
中央線八王子経由、横浜線から長津田駅まで国鉄線路を使い、
ここから東急田園都市線に入りました。
長ーい旅が終わります。
■要は、東神奈川と長津田間は貨物列車が走れない!!ということに尽きます。
(帰りはどうなった?)
逆ルートですが、終着点は伊東駅です。
東海道本線貨物線路でマイホーム伊豆に帰ります。(納品?)
(このルート設定は、各種規則、Wiki等を使って私個人が推論した範囲を出ません。
ほぼ間違いがないと思いますが事実と異なる点がありましたらご指摘願います)
→現在継続調査中です。
6月18日関連付録
【海外移住の日】
1908年のこの日、本格的な海外移住の第一陣781人を乗せた笠戸丸(神戸発)が、ブラジルのサントス港に到着した今日を「海外移住の日」としました。
(横浜由縁)
1966年に独立行政法人国際協力機構が制定しました。
Japan International Cooperation Agency、略称JICA
本部
〒102-8012 東京都千代田区二番町5-25 二番町センタービル
JICA横浜
http://www.jica.go.jp/yokohama
〒231-0001 神奈川県横浜市中区新港2-3-1
ここのレストラン、ラウンジはおすすめ(穴場です)
港が見えるレストラン
「Port Terrace Cafe(ポート テラス カフェ)」