近代化の象徴的な出来事のひとつが「外国との自由な郵便のやり取り」です。
これが近代のはじまりであり国際社会への第一歩といえます。1875年(明治8年)のこの日、「横浜郵便局」が外国郵便物の取り扱いを開始する「第一便差立」が行われたとあります。
三代目広重は錦絵「横浜郵便局開業の図」にその様子を残しています。
この錦絵は前島密によって創刊された「郵便報知新聞」の付録として発行されました。
と
この日の出来事を紹介しましたが、調べるうちに史実が怪しくなってきました。上記の錦絵は1875年(明治8年)1月5日に行われた外国郵便開業式の式典の様子のようです。
この頃テーマ探しにネットが活躍しています。
でも気をつけておかなければならないのが「間違ったデータの一人歩き」です。ついついネットに出ているデータを流用してしまうのが常で、誤情報は訂正されずコピペの連鎖が生じていきます。
一次情報に当たれなくとも、できるだけ真実に近づくことが大切なんですがなかなか難しいものです。
1月8日は実際に業務が始まった日です。
外国郵便取扱開始を検索すると「1873年(明治6年)に結ばれた日米郵便交換条約により、1875年(明治8年)に外国郵便を取り扱いが横浜郵便局ではじめられた。」とか
「外国郵便の日 1875(明治8)年のこの日、横浜郵便局で外国郵便の開業式が行われた。それまでは、横浜の外国人居留地にあったアメリカの郵便局が外国郵便の業務を行っていたが、これを廃止して、日本政府が業務を行うこととした。」
「1日に発効したアメリカとの郵便交換条約に伴い、横浜郵便局において外国郵便取り扱いの開業式を行う。」といったデータが多くヒットします。
この横浜郵便局とは現在の港郵便局のことです。
「外国郵便創業の局」の碑が港郵便局脇にあるというので確認すると「明治8年1月5日創業」とあります。また開港資料館の資料でも1月5日とありどうやら1月8日は実務開始日で記念日ではないようです。
※この延長線でいくと 1月6日マリンタワー開場という記事も多く出てきます。正式には1月15日ですが、有名企業の社史年表にも散見される。要確認事項の一つです。