第913話【時代判断の決め手】

昔の風景写真に出会ったとき、いつごろの時代なのか気になります。

展示会や、資料には推定年代が示されていることも多いので史料として役立ちます。
一方で、年代の分からない風景に出会うと、これまた別の意味で興味が湧いてきます。
「この風景は何時だろう?」
時代判断の決め手について紹介しましょう。
時代のランドマークが判るエリアはそれが基準となります。
戦前昭和期の関内エリアは「三塔」が鍵となります。
古い順に
今年150年を迎えた開港記念会館(ジャックの塔)、
1917年(大正6年)に竣工しますが震災で全焼し
1927年(昭和2年)に再建されます。
帝冠式の厳かな佇まいの神奈川県庁「キングの塔」が
1928年(昭和3年)10月31日に竣工します。
そして最後に1934年(昭和9年)3月竣工した
横浜税関の現 本関庁舎(クイーンの塔)を合わせて三塔と呼びます。
港に入ると横浜港にこの3つの塔がシンボルとして見えたそうです。この三塔によって微妙に時期がことなりますので
昭和2・3・9年で順を追うことができます。
今回紹介します風景は
この三塔の時差から税関(クイーンの塔)が見えないようです。
そこから昭和3年〜昭和8年ごろと時期が絞りこむことができます。
横浜関内外の風景は、
関東大震災で建物が大きく変わります。
そして戦災(横浜大空襲)と接収時代を経て
高度成長期となり、オリンピックの頃には人口爆発真っ只中で
横浜は都市基盤整備に日々追われることとなります。
大正から昭和にかけて、震災の被害は大きかったけれど復興に努力する短い時代が横浜にとっては数少ない良き時代だったのかもしれません。

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