第978話【横浜の分水嶺】

都市部ではあまり<分水嶺>という表現を使いません。都市化された市街地にかつて流れていた(流れている)小河川が埋もれてしまう(暗渠化)ことが多いからです。襞のような丘陵地を多く持つ横浜にはミニ分水嶺が多くあります。
今回は 横浜の分水嶺を紹介しましょう。

横浜市域周辺の水系

■横浜は大きく4つの水系で構成されています。
一級河川 鶴見川水系
二級河川 帷子川水系
二級河川 大岡川水系
二級河川 境川支流柏尾川水系
そのほか 入江川、滝の川、宮川、侍従川 等
水系に含まれる河川名のある支流も多くあります。
鶴見川の支流では 矢上川、早渕川、恩田川(奈良川)、鴨志田川 等

■分水嶺とは
隣り合った河川流域の境界線を分水界といいます。この分水界となっている山脈(丘陵)を分水嶺と呼びます。
水系全体を分ける大きな<分水嶺>から支流の小さな<分水嶺>まであります。
この分水嶺、横浜市内ではほとんど宅地化し暗渠化し姿を消したもの、中には大規模な造成が行われ、分水の役割すら失った空間も多くあります。
中でも
現在残されている稜線<分水嶺>を散策すると、そこが市境や区界であったりして様々な表情が見えてきます。

■分水嶺と行政界を分類してみました。
水系を区で分けてみると
●一級河川 鶴見川水系
 鶴見区・港北区・青葉区・緑区・神奈川区(一部)
●二級河川 帷子川水系
 西区・神奈川区(一部)・保土ケ谷区・旭区
●二級河川 大岡川水系
 中区・南区・港南区・磯子区
●二級河川 境川支流柏尾川水系
 戸塚区・港南区一部・栄区
●二級河川 境川支流水系
 瀬谷区・泉区
●侍従川・宮川水系
 金沢区
●滝の川
 神奈川区
●入江川
 神奈川区・鶴見区

■律令制で分けると
武蔵国(都筑郡・橘樹郡・久良岐郡)が
 鶴見川水系・帷子川水系・宮川侍従川水系
相模国(鎌倉郡)が 
 境川水系
で分けることができます。
それぞれの川は周辺の丘陵を水源に、支流がまとまりながら海へと注いでいます。

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