No.690 【お気に入り絵葉書】モダン洗髪粉と昭和7年

<特に横浜とは関係ありませんが>
昭和7年9月に発行された「主婦の友」(第16巻第9号)の付録絵葉書です。
とにかく 変に 面白いので紹介します。
左側の女性はこのモダン洗髪粉愛用者、松竹の 田中絹代さん。
商店の写真は製造元の葛原工業所。つまりシャンプーの広告としてデザインしたハガキなのだが、いくら<大女優>でもこれではガリバー、怪獣になってしまいそうだが当時はどんな反響だったのだろう。

会社の前には バイクと自動車があり、当時としては<信頼>それとも<一流>の証だったのだろうか?

light_主婦の友絵葉書201420001

裏面の解説文には
「モダン洗髪粉(シャンプー)」は情熱の國スペインに実るオリーブから採取した純粋のオリーブ油と熱帯産の椰子油(ココナツオイル)を主原料として黒髪の美しさを少しも傷つけず、手軽に早く洗へて、脱毛や、髪の切れ、折れ等を防ぐばかりではなく、そのまま毛根の養ひになるため、美しいお髪のために安心して御使用遊ばすことができます。」とある。

二回分十銭、送料二銭、八回分三十銭 送料四銭だったそうだ。

すこしシャンプーについて調べてみた。
商品名に「シャンプー」を最初に付けた会社が葛原工業で、この「モダンシャンプー」らしい。昭和元年のことと記録されている。戦前にも現在に続くライオン、花王、資生堂等がシャンプーを発売していたから、女性の美容品も熾烈な企業競争だったのだろうと推察できる。
この絵葉書広告の出された昭和7年の世相を少し追ってみよう。
昭和7年
童謡として「チューリップ」「一番星みつけた」「電車ごっこ」「牧場の朝」「蛍」等が流行った。

「一番星みつけた」
https://www.youtube.com/watch?v=KrR50TZNQak

「牧場の朝」
https://www.youtube.com/watch?v=OPdSbZbvPxY
輸出玩具も国内市場でも盛んに販売されるようになり「ブリキ製宙返り飛行機」が子供達の心をつかんで離さなかった。ところが、日本橋・白木屋デパートでセルロイド玩具に引火して大火が起こる。ここからセルロイド玩具の引火性が論議となりセルロイド製に代わりゴム製や1934年以降は金属製が輸出玩具のトップになったキッカケの年でもあった。

流行歌として「銀座の柳」「天国に結ぶ恋」「爆弾三勇士の歌」「島の娘」
「銀座の柳」
https://www.youtube.com/watch?v=HKl78C9gJEs

「爆弾三勇士の歌」
https://www.youtube.com/watch?v=lPUqdIaTQAM
ここに登場する爆弾三勇士に関しては 昭和7年当時大きな話題となり 一大ブームを巻き起こす。
http://ja.wikipedia.org/wiki/爆弾三勇士
詳しくは上記 ウィキペディアを参照されたい。

舞台・映画
「三文オペラ、忠臣蔵、国士無双、金色夜叉、天国に結ぶ恋」

流行語は
「話せばわかる・問答無用、生まれてはみたけれど、欠食児童、時局」

ラジオで「ロサンゼルスオリンピック実況放送」や現在につながる「初の除夜の鐘リレー」も始まった。
森永ソフトチョコレートが登場し
生活用品(美容品)では長瀬商会(現花王石鹸株式会社)により本格的なシャンプー販売が始り、草分けの葛原の「モダン洗髪粉」はこのハガキのような広告戦略に打って出たのかもしれない。
この年の物価は
砂糖1斤(600g)21銭
みそ1貫(3.75kg)85銭
醤油1升56銭
デパート食堂天丼45銭・親子丼35銭・カレーライス25銭
エビスビール33銭
あんぱん2銭
足踏みミシン70円
資生堂爪磨きセット85銭
花王シャンプー5銭
小学校教諭平均月給・男子68円33銭、小学校教諭平均月給・女子48円77銭、女子事務員平均月給30円
帝国大学年間授業料120円・早稲田・慶応年間授業料140円
※公立私立授業料に差は無かったようです。
府立中学年授業料60円
帝国ホテル宿泊シングル7円・ツイン12円
ハーモニカ1円50銭〜2円50銭

昭和初期には 関心があり様々な資料と出会っているところです。横浜が震災から復興しようやく元気がでてきた昭和5年から15年、戦争とともに多くを失いました。

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