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No.422 【舞台の横浜】妙蓮寺と野毛

1968年(昭和43年)横浜を舞台にした人気テレビドラマ「三人家族」が放映されました。
高視聴率となったこのドラマは、いろいろな意味で横浜を知るには興味深い作品です。

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ドラマ3人家族

三人家族のシーンとテーマからどうぞ
http://www.youtube.com/watch?v=u6EZ4o107ns
http://www.youtube.com/watch?v=LVdZQmllvJ8
(やっぱり著作権でクレームがつきましたか…)ビジネス的に30秒とかイントロだけでも許諾していただけると 逆にDVDの購入に結びつくとおもいますが。

https://www.youtube.com/watch?v=mNHP-qstGYI

https://www.youtube.com/watch?v=tH2XWh6XlhM

まず上映された時代
団塊世代の先輩世代、高度成長の入口の時代です。

1968年(昭和43年)横浜市の人口が200万人を突破した都市です。
首都圏では急速にベッドタウン化が進みつつありました。
さらに、
「ブルーライトヨコハマ」と「伊勢佐木町ブルース」のダブルヒット

そしてこのドラマをはじめ
横浜が全国に音楽と映像でPRされ続けた年でもあります。

(正確には1968年1月に「伊勢佐木町ブルース」12月25日に「ブルーライトヨコハマ」がリリースされました)
「ブルーライトヨコハマ」
「伊勢佐木町ブルース」

テレビドラマ「三人家族」
山田太一が「これが当たらなかったら職がえだ」と背水の陣で臨んだ作品だったそうです。

おそらく山田太一自身、十分に調査・ロケハンをしたに違いありません。
ここに登場する家族、横浜の風景の多くは山田太一が指定したものでしょう。
「早春スケッチブック」でも脚本には詳細な情景指定をしています。

No.421 ふぞろいの隣人たち?
簡単な概要を紹介しましょう。

TBS系列日産火曜劇場 木下恵介アワー というシリーズ作品の
「おやじ太鼓」の後に放映されました。
放送期間は
1968年(昭和43年)10月15日〜1969年(昭和44年)4月15日

まさに「ブルーライトヨコハマ」リリースとシンクロしています。
放送時間は21:00〜21:30で全26回でした。
制作は松竹をバックに「木下恵介プロダクション」
(妙蓮寺と野毛)
横浜を舞台に独特な対比構造を構成しています。
急激に変化する戦後の日本、郊外化する横浜

そこに象徴的な二つの地域

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旧東横線とその後の新線

妙蓮寺の一軒家に暮らす「柴田家」男三人家族
野毛の新築マンションに暮らす「稲葉家」女三人家族
現在のスピードでは<じれったい恋愛>をベースにした家族物語です。
柴田家長男 雄一(竹脇無我)
東急東横線「妙蓮寺駅」から横浜駅経由で新橋駅で乗り換え<西新橋(田村町)>にある商社に通うビジネスマンの設定(三井物産か?)。
社内ではテレックス担当の通信部員ですが花形の営業職を希望しています。

稲葉家長女 敬子(栗原小巻)
国鉄「桜木町駅」から「新橋駅」乗り換えで<霞が関ビルディング>の旅行代理店(たぶん日本交通公社)に通うOLの設定。
当時はビジネスガールと言ったかもしれません(渡航時に問題となり変更されましたが)。

霞が関ビルディングは放映された1968年(昭和43年)の4月12日にオープンしたばかりの当時はじめての高層ビルとしてこれまた話題になりました。

<商社と旅行代理店><一戸建てと新築マンション>
<家庭用電話がまだないがテレビはある家庭>
<全てが洋風(死語?)スタイルの家庭>
あえてステレオタイプな対称軸の設定で構成しています。

内容に関して詳細な情報は下記のサイトに掲載されています。
http://syowa40stvdrama.com/kinoshitatv_ipn/page043.html
※一部閉鎖されていますが この情報で十分に「三人家族」の概要を知ることができます
ここでは地元ならではの切口で補足しておきます。
妙蓮寺の一軒家に暮らす「柴田家」男三人家族は
1968年は戦後23年の時間が流れています。
長男の年齢設定が26歳なので
恐らく、出征前に結婚し 戦中に長男が生まれたのでしょう。
※妙蓮寺は疎開先だったかもしれません。弟がお祭りに参加するなど、
地元(地域)とのコミュニティがしっかり形成されています。
*余談 妙蓮寺とは妙仙寺と蓮光寺が合併してできたお寺です。
 1908年(明治41年)に「横浜線」建設のために移転を迫られ蓮光寺と合併します。
 ところが、1926年(大正15年)に今度は東急が転地を申し出るが
 再度移転することを嫌った妙蓮寺側が門前を駅にすること選択します。
 駅前が門前となります。

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一方、
野毛の新築マンションに暮らす「稲葉家」女三人家族は
父親が13年前に(海外へ)蒸発した設定になっています。
女性家族が自立していく姿が背景にあります。
野毛のロケに使われたマンションは現在もあります。(ということは築40年)
マンションの予測はできていますがここでは内緒にしておきます。
<2017年1月位置も再度確認してきました>

桜木町はもう過去ネタになってきましたが、東急東横線の終着駅でしたね。
二人のデートにも程よい距離でした。
このドラマに映された横浜
昭和30年代から昭和40年代前半の良き時代の一断片だったようです。
港の“やくざ映画”イメージからも脱却しつつある横浜でもありました。
ドラマには時折ピンキーとキラーズの流行曲が流れたり、崎陽軒のシウマイが登場したりします。

横浜はこの蜜のような時代から 急激な人口爆発都市となっていきます。
横浜の商店街もこの時の“賑わい”残照から脱却しなければいけないのですが
No.337 12月2日(日)日本最大級の人口爆発都市 

No.334 11月29日(木)歌の横浜 

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