(追記の可能性があります)
■桜木町物語
最も歴史に満ちたこの駅には語り尽くせない物語が多くある。
桜木町駅あたりがまだ海だった頃から物語を始めよう。
野毛浦の絶壁から見下ろす海には、姥ヶ岩に打つ白波が絶えず立っていた。その先には洲干辨天の嘴が真下まで伸び、その風景は野毛山を越える旅人を驚かせたに違いない。
幕末に開港場となった横浜村が軸となり居留地が誕生し、近代という異文化がこの地で濃縮された。
開港後、近代化を目指した日本は様々な西欧を吸収する中で、いち早く東京と横浜を結ぶ<鉄道>敷設を目論んだ。1872年(明治5年)のことだ。この時、鉄道用地を白波の立つ野毛浦の海に求めた。
近代化を目指した日本は様々な西欧を吸収する中で、いち早く東京と横浜を結ぶ<鉄道>敷設を目論んだ。この時、鉄道用地を白波の立つ野毛浦の海に求めた。
内田清七と高島嘉右衛門が埋め立て海に鉄道用地を作ったことによって、初代横浜駅が誕生する。1872年(明治5年)のことだ。
明治期になってたった5年しか経っていない鉄道の誕生である。
これは江戸に育った<近代性>の支えなくして成し得なかったといえるだろう。桜木町駅前に立つ度、「日本の近代化が江戸期に培われてきた先進性の素に開花した」ことを実感する。
(鉄道発祥の駅)
鉄道開通の記念碑が建つ桜木町駅は1990年(平成2年)に<正面>が変わった。これは駅開設以来の地域変化を表している。
日本を代表する「横浜駅」が「桜木町駅」となったが長らく「桜木町駅」は関内方向に向かって正面玄関が設置されていた。
玄関を出ると広場があり、その向こうには大岡川が流れ、「辨天橋」「大江橋」が架かる風景が広がっていた。乗降客は、横浜港利用やそれに関係する人々や、三菱造船に働く人が多かった。
市電時代では、終点「桜木町駅」から駅前ロータリーを経由して様々な方面に向かう人で戦後も賑わってきた。
初代横浜駅は
1915年(大正4年)に転機が訪れた。
第一次世界大戦が起こり間接的影響を受ける中、港都横浜と帝都東京を結んだ国有鉄道が私鉄吸収を含め、驚異的な発展を遂げたことで東海道の幹線から外れた「横浜駅」の役割が大きく変わることになった。
いわゆるスイッチバック問題である。東海道本線「(旧)横浜駅」を経由するには鉄道創業路線をスイッチバックして通過する必要があった。
1889年(明治 22年)に神戸まで開通した東海道本線は、東西を結ぶ幹線として利用度が高まり、ロスのある、横浜駅スルー案が登場する。
1913年(大正2年)8月には東海道本線複線化が完了し、関西圏と関東圏を繋ぐ大動脈が登場し、ますます「横浜駅」スルー議論が高まり、新駅を作るのではなく
「横浜駅」を移動することに決定。石崎川に沿って走る東海道本線に新「横浜駅」が開設された。
1919年(大正8年)データでは国有鉄道の総営業キロは9,982キロメートル、地方鉄道は3,227キロメートルに達 し、ほぼ全国を網羅したのである。
(桜木町駅)
神奈川県を代表する「横浜駅」の冠を譲った「桜木町駅」は戦後、ようやく根岸線延伸計画が実現し、終着駅から通過駅となった。
1964年(昭和39年)に磯子駅まで延伸し、1973年(昭和48年)には大船まで全通することになり、
1990年(平成2年)に現在の駅舎が完成し、正面が海側に変更「関内」から「みなとみらい21」エリアに正面玄関が向いた。
前年の1989年(平成元年)に
桜木町駅海側にあった「三菱造船所」が移転した跡地を再開発する前祝いとして横浜博覧会(YES89)が開催され、駅舎改装が始まった。
(東横線廃止)
1932年(昭和7年)に二代目横浜駅まで延伸していた東急電鉄が桜木町まで延伸、
渋谷と野毛を繋ぐ路線として活躍した。
2004年(平成16年)1月30日に廃止。
2014年(平成26年)には、「CIAL桜木町」が開業し、山側の空間整備が始まり、現在も進行中である。
(市庁舎移転)
桜木町駅の環境がまたもや変わろうとしている。
No.256 9月12日(火)どこも本庁舎引越は大問題
http://tadkawakita.sakura.ne.jp/db/?p=348
第854話 改めて横浜市役所移転史
http://tadkawakita.sakura.ne.jp/db/?p=9071
■【横浜駅物語】を始める
2011年(平成23年)から4年かけて市内全駅に降り立ち、差はありますが周辺を散策しました。
散策の折り、駅を材料にしてショート・ショートを記してみたいと思って数年、なかなか書き出すキッカケがありませんでした。(※一部駅を除く)
市内全駅
横浜市内の駅は数え方にもよりますが七社150を超えます。
これら数ある中から簡単なコメントを紹介していこうと思います。
最初の駅を選ぶとすれば
横浜の場合「桜木町」しかないでしょう。
ただ、私の場合どうも掘っていって収集がつかなくなるので、桜木町をどう簡単にまとめるか、大難問!でした。折を観て、違った角度で桜木町は紹介していきます。 (JR根岸線桜木町駅)
「桜木町」駅は歴史の大波を乗り越えてきた駅です。
横浜の歴史を知る過程で必ず登場するのが鉄道発祥の駅としてこの地に1872年(明治5年)開設された初代「横浜」駅です。
その後「桜木町」と変更し歴史に翻弄されながら現在に至ります。
https://ja.wikipedia.org/wiki/桜木町駅 (東急東横線)
1932年(昭和7年)3月31日
当時の国鉄「桜木町」駅に隣接して開業したのが東急東横線「桜木町」駅です。
みなとみらい線開業にともない、横浜駅以降の高島町・桜木町が
2004年(平成16年)1月30日に廃止されました。 過去の「桜木町」関連のブログを紹介します。
第694話【一枚の横浜絵葉書】「桜木町横浜市授産所ノ偉観」
http://tadkawakita.sakura.ne.jp/db/?p=6063
第987話【運河物語】桜川
http://tadkawakita.sakura.ne.jp/db/?p=12394
番外編【資料としての絵葉書】横浜駅
http://tadkawakita.sakura.ne.jp/db/?p=12266
第867話 【明治の風景】横浜駅前公衆便所
http://tadkawakita.sakura.ne.jp/db/?p=9341
第849話 横浜・新橋、横浜が先?
http://tadkawakita.sakura.ne.jp/db/?p=9006
第976話【横浜の道】横濱国道物語
http://tadkawakita.sakura.ne.jp/db/?p=12001
【横浜の国道】133開港の道物語
http://tadkawakita.sakura.ne.jp/db/?p=7243