No.273 9月29日(土)明治版2Ch?

今日は閑話休題、ネタ探しの宝庫について紹介しましょう。
明治時代ともなると、百数十年も前のことで時代劇の領域のように感じますが、当時の新聞を読んでいると、
何時の時代のことなんだろう?と思う出来事が多く報道されてる事に失笑しつつ“変わってない”世の中に複雑な思いもあります。
例えば1909年(明治42年)9月29日開港50周年の年「横濱貿易新報」のいわゆる生活欄、三面記事には?

やっぱり日本女性は和服でしょ!?

明治版おれおれ詐欺
上記の記事の次に、不逞の学生どもが電話を使って詐欺をして捕まった記事が大きくでています。
ことの顛末をかいつまんで紹介します。
学生グループは自動電話(交換を通さない)を使って、著名人の名を語り高価な出前を頼み“食い逃げ”し、若い女性を尾行しレイプに及び、若いカップルからは恐喝し金銭をまき上げるという“どうしようもない連中”が捕まったという記事です。
冒頭に「堕落学生の跋扈することを耳にするは久しきこと」とありますから、
明治の時代でも馬鹿な学生はいたようです。

良く読むとかなり凶悪犯です

明治の新聞記事は「横濱貿易新報」か、「横濱毎日新聞」で調べますが、多くの場合、年表等で事件を発見しその日の記事を確認する作業を行うのですが、面白い記事に関心が行ってしまうこともしばしばあります。
広告は面白いので時々このブログでも引用しています。
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最近興味深く読んでいるのがいわゆる「投稿欄」です。

幾つか紹介しましょう。
「漫遊外人などが上陸早々面会するのは税関監視部の人なり。一寸した事だが能く考えると監視部には立派な人を置きたいね」
“置きたいね”という言葉から、今で言えば、入国審査官はその国顔ですからしっかりした人にしろ!という意見なんでしょう。
まるで落語に出てくる『ネタ』のような投稿が
「イセサキ一(丁目)の天金では夜二時過ぎまで調子の合わぬ三味線を弾くので近所では大迷惑(不眠休)」
「若葉町三丁目の下駄屋では毎夜調子の合わぬ三味線弾いては近所迷惑」
「近頃滑稽な噺は初音町の祭礼に生花の奉納があったところ隣の床屋の“権”という若者が生花を見に来た別嬪に見とれて客の睫毛を剃り落したとの事」
今も昔も変わらないのが
「生命保険の勧誘五月蝿ね」
明治時代も勧誘は迷惑だったようで。
「市長サンは不二山との評を受けたんだ。なるほど少しも物に動ぜぬからね」
何もしてくれないという揶揄です。
「皆んなが皆んなと言う訳ではないが横濱の電話交換手ほど不親切極まるものは例が少ない。五百番は何のために設けているのですか」
「羽衣町弁天社内は雨が降ると道が悪くて高い下駄が沈没します。早く地上げをお願いします。」
「野毛山双葉楼別荘下の道路へ電燈を点ぜよ(安全男)」
「停車場の札売場にて駅夫が衣服を着替えるのは見苦しい沙汰です(商館番頭)」なんて公共サービスへの投稿もあります。

一方で、投稿にどれほどの信憑性があるのかわかりませんが、
「不老町の英漢数教授某先生 生徒から金を借りて酒食に耽る事は止したまへ」
「赤松春よ 男子との交際は止めよ(忠告生)」大きなお世話のような気もしますが。
「戸部警察署詰の高木刑事君の住所ご存知の方は此蘭まで御通知を乞う」
新聞で警察官の住所を聞いてしまうなんて今じゃ考えられませんが、この記事には後日談があったようで、数週間後“戸部警察署詰の高木刑事”は東京に転勤となった記事がでていました。何なのでしょう?ちょっと興味あります。
「住吉二(丁目)のお倉ちゃん十四日の晩は御三人で御楽しみね(住吉三(丁目))」
「戸部四 湯屋の西岡さん淫売の妾はおよしなさい。御身分に障ります。」
「寿二(丁目)の早川おトシさんあまり方々の男と歩行くのはおよしなさい。(注告女)」

こんな目撃証言、当人は効いたでしょうね。

「横濱停車場の出札係高辻タマ子は客に対して頗る親切だ 第一釣り銭を投げつけるなんか 又一二等口の婦人は英語にも熟達して居て丁寧懇切だ」
この光景、
一等二等の窓口の担当女性は英語も話せて懇切丁寧だが
一般客(三等)担当の接客には我慢ができない!!と読んだのですが。
今も近いものがあるように見受けます。横濱のどことは言いませんが…

最後に
「横濱市内の奇観
(1)弁天橋の古褌
(2)噴水器の青藻
(3)ドンタラ時計(会館上の)とす」
さあ どんな光景なんでしょうか?
このドンタラ時計はかなり市民に不人気のようで別な場所の投稿にも新しくしろという趣旨の記事がでていました。
ようは時間が正確ではないので“時計の役割”を果たしていないということのようです。

お粗末でした。御後がよろしいようで。

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