緊急時に安心して119番できる公共サービスが現在危機に瀕しています。
救急医療の崩壊です。
「救急車はタクシーじゃありません」という悲しいキャンペーンまで登場しました。
私たちは電話さえあれば緊急車両を呼び出すことができます。
この歴史は横浜から始まりました。
1933年(昭和8年)の今日、日本で初めて神奈川県警察部山下消防署に救急車が配備されました。
旧中消防署日本大通消防出張所の跡地に「消防救急発祥の地」記念碑が建っています。
山下消防署に配置された日本初の救急車はアメリカ製のキャデラックでした。
スペックは8気筒32馬力、最高時速40Km、全長5.3メートル、幅1.9メートル、高さ2.3メートル、白地に赤線を一本入れ、側面に「救急車」の三文字を表示、サイレン1個、患者用寝台1台、担架3機です。
当時の神奈川県内の自動車保有台数は4,259台(昭和7年11月末現在)ですから、かなり目立った存在だったようです。
救急車の運転手が2名、救護手(現在の救命士)が4名で二部制の隔日勤務をとり、市内16の病院へ病人を運ぶ体制を整えました。
「交通事故水火震災其ノ他ノ災害二因ル傷病者ニシテ應急救護施設ノ缺陥二基キ遂二貴重ナル人命ヲ損傷スル事例尠カラザルニ依り昭和八年三月救急自動車一輌ヲ備へ山下消防署二配置シ無料ヲ以テ傷病者ノ救護二従事セシメツツ、アリ而シテ實施以来着々成績ヲ擧ゲツ、アリ横濱市内ハ無論隣接町村二在リテモ廣ク之ガ利用ヲ希望ス」
日本国に公共の救急サービスが始まった記念すべきできごとです。
エピソードはさらに続きます。
横浜市は平成20年10月から全国に先駆けて救急業務の公正、公平化を確保するための「横浜型救急システム」を稼働しました。
「救急車はタクシーじゃありません」状況が横浜市でも近年慢性的に救命処置の遅延をもたらしていました。
この事態を解消するためにまず法律とシステムを変えました。
平成19年12月に「横浜市救急条例」が制定され平成20年10月施行されました。
(条例内容は下記からダウンロードしてください)
横浜市の救急出動件数は消防局統計で平成23年が167,075件(311のために増加)平成22年は158,631件にものぼります。
現場到着時間短縮を目指す国内初の新システムとして全国から注視されています。
市発行の119番ガイドブックより |
横浜市消防局(リンク更新しました)
横浜市救急条例
119番通報のかけ方
119番ガイドブック〜上手な救急車の呼び方〜
※本来、消防と救急は自治体の独立した公共サービスです。
戦後、消防組織は警察から独立し1948年に自治体消防制度が発足しました。
http://www.bousaihaku.com/