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No.697 【一枚の横浜絵葉書】昔の絵葉書風景を読む。

戦前の絵葉書の役割は現在の絵葉書とは少し異なります。<観光>に加えて<ニュース性>のある絵葉書が多く発行されています。
今回は一枚の読み解きにくい<風景>を探索します。

light_資料絵葉書001 「Yokohamashi Zenkei 横浜市全景」
<港>や<水際>の無い横浜の全景絵葉書です。あまりに場所がわかりにくい<風景>ですね。ランドマークが良く判らない風景です。横浜全景なのに港がありません。港の無い「横浜」は市域拡張後の横浜では普通ですが、「横浜市全景」をタイトルにしているところから開港場周辺であるとは疑いがないでしょう。ということは、戦前の<組絵葉書>の可能性があります。
港の風景と住宅街の風景を対比させているかもしれません。
が、この絵葉書に写し出されている情景のみで“すこし”読み解いてみましょう。
(ヒントとなるものを探す)
「横浜市全景」という表現からこの風景が1889年(明治22年)から1927年(昭和2年)の市域拡大前の時期ではないかと推理しました。さらに1923年(大正12年)の関東大震災以前ではないかとも推理できそうです。
次に遠景から、地平線に稜線があり、この風景の撮影ポイントもある程度の高いところからと思われます。初期の横浜の特徴を良く顕している<山手側>か<野毛山側>であることは間違いないでしょう。
では、山手側・野毛側?どちらでしょうかと推理してみます。その前に、
ここで一点考えておかなければならない“要素”が「逆版」です。一応逆版画像も紹介しておきます。

light_横浜全景逆版     <トーンを変えています>
昔の写真や絵葉書には時折この<逆版>がありますので注意しなければなりませんが、今回は参考程度に留めておきます。
稜線の高さが一定に見えるように視界が開け、さらには開港場の洋館などがあまり見えない場所はどこか?
その前に、この風景に写っている<ポイント>を探します。
画像を右下から左上に向け対角線状にかなり広い道路が走っています。
※電信柱から十四・五連の大きさを読み取ることができます。
この通りに沿って、商家の家が連なっています。
ここに通りと川筋を私の推測で引いてみました。

light_横浜市全景通り筋light_横浜市全景通り筋川筋予想 遠景に教会・仏閣が見えます。さらに目を凝らしてみると 左上ゾーンには和風の甍が無いことがわかりますので、もしかしたら元町方向かも?しれません。
稜線の上には建物らしき影もあります。

M五年開港場 さらに基本的な風景情報としてこの<光景>は朝焼け?夕焼け?
これらの情報をもう少し織り込んで さらなる謎解きを続けます。
(今回はここまで)
さらに探索を続けます。
light_百段坂遠景この情景は、震災で崩れた「百段坂」上からの開港場風景です。目前に堀川端がはっきり見えています。今回の謎解き風景には道路が一切見えておりません。おそらくもう少し低い位置からの風景と推理できます。
light_百段元町<百段坂>階段中腹としても目前に広がる風景には少し違和感を感じます。では上記画面左端のあたりから見たらどうでしょうか?そうすると<遠景>の建物がかなりマッチするように思えます。
(20150120)時点での中間報告です。