No.447 いずたとばななの物語

先日船から横浜湾岸部を旅する機会がありました。
「バナナ埠頭」を観たい!という願いが達成!!!
バナナ専用船も間近でウォッチでき感激でした。

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バナナ船ごときに何を感動しているのだ!
私の魅力コンテンツ探しの原則は「ついでコンテンツ」の充実が鍵となっています。
場所、出来事、人物、歴史等々のエピソードが重なる「コンテンツ」を探したい!
「へー」で終わる“落語の考えオチ”のような読了感のあるテーマが見つかればベスト!
例えば「クロモジ」から「ヨコハマタイヤ」
No.179 6月27日(水)電気が夢を運んだ時代?

「No.127 5月6日 あるガーナ人を日本に誘った横浜の発明王」

ということで、今日は
横浜にあるバナナ埠頭とその一帯の地名から「ついでコンテンツ」をひも解きます。
横浜市神奈川区出田町にバナナの輸入専用埠頭があります。

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専用岸壁、燻蒸や定温保管可能な設備を備えた専用上屋の名が
「バナナ1号・2号上屋」です。

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ネットで調べた限りですが正式に「バナナ」と命名されている上屋は
ここだけではないでしょうか。
バナナ輸入量が一番多いのは「東京港」次いで「神戸港」で
横浜港は第三位ですが 唯一「バナナ上屋」があるのは
ちょっと嬉しいです。

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 バナナ埠頭には
その他に青果上屋や青果企業の事務所があります。
※ご存知の方も多いと思いますが
 上屋(うわや)の語源はウェアハウス (Warehouse)の音を当てはめた造語です。

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バナナの陸揚げは、 専用埠頭で行われます。
何故、専用埠頭なのでしょうか?
バナナは輸入後に専用の処理作業が必要になってきます。そのためにバナナ用の専用施設の揃った「埠頭」が必要になってくるという訳です。

バナナは99%が輸入で日常の果物として欠かせない人気の果物ですが、
検疫上完熟で輸入することが殆ど禁止されています。
多くのものが 青いまま輸入され 日本国内で燻蒸・熟成され市場に出ます。
そのための加工施設が「バナナ」には必要という訳です。
輸入してから加工?
面倒なことをしている割にバナナ 廉価で販売されていますね。
価格安定の理由は
年間を通じて 輸入量が安定していることと前述の通り輸入から市場に出回るまでのシステムが確立しているからです。
何故生産量が安定しているのか?
生産地が赤道を中心にベルトのように点在しているため 季節に関係なく成長するからです。

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1903年(明治36年)4月10日が
日本が商業取引として初めて“バナナ”を輸入した日だそうです。
輸入先は台湾で基隆(キールン)港から神戸に向けて大阪南船の恒春丸が約75kgのバナナを運びました。当初は高級品だったようです。
(余談)
バナナの叩き売りは九州門司から始まったそうです。

(いずた いづた でた)
横浜港で、バナナの荷揚げを行っているのは、前述の通り
神奈川区出田町(いずたちょう)にある出田町(でたまち)ふ頭です。
え?
同じ出田町で「いずた」「でた」読み方が二つある?
正しくは「いづた」では?
この話しは 地元では有名な話しで
港湾関係者はほぼ全員「でたまちふとう」
でも神奈川区の町名は「いずたちょう」です。
「いづた」ではありません。

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よーく見ると上から修正シートを貼っている????
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昔の画像

Wikiでは
「出田町(いずたちょう)
横浜市神奈川区の町名。住居表示は未実施で、郵便番号は221-0032。
1921年(大正10年)2月4日、横浜鉄工所が千若町3丁目地先の埋立免許を取得。1923年(大正12年)4月に着工、1927年(昭和2年)8月22日に竣工した。
同8月30日、横浜鉄工所の専務取締役出田孝之の姓から、出田町と命名された。
1952年(昭和27年)に出田町埠頭の建設工事着工。
1954年(昭和29年)に2バースが完成、
1958年から1963年にかけ、新たに2バースを建設した。」

面積は0.161km2
横浜港の重要な埠頭として活躍しています。
最初は「いずた」でしたが、現場レベルで難読のため「でたまち」を多用しあとから確定した施設名といえるでしょう。
厳密にいえば この埠頭を作った「出田孝行」氏への畏敬を示すのであれば
使いにくくとも「いずたちょう」とすべきだったのでは?

と私は思うのですが。
横浜には埋立に貢献した人物の名がついた地名が多くありますが、
横浜鉄工所の専務取締役出田孝行さんはメジャーになれなかったからでしょうか。少し寂しい気もします。

(こんな事例も)
 大桟橋(おおさんばし)は、かつて「だいさんばし」と呼ばれていた時代があります。東京オリンピックを契機に「おおさんばし」名称が徹底されたようです。
「だいさんばし」という方がいらしたら60から70歳以上間違いなし!
ただし、”だいさんばし”は戦前戦後の一時期だけだったようです。明治育ちの港湾関係の方を祖父に持っている方は、「祖父はおおさんばしと言っていた!」そうです。
(埠頭豆知識)
港には埠頭(ふとう)があります。
鉄道と同様に人の乗降りの機能と
貨物の荷役(積み下ろし)が行われる機能を持っています。
埠頭の条件には 人と荷物で変わりますが
①係留施設があること。
 船舶が接岸する岸壁・物揚場のことです。
②旅客ターミナルがあること。
③取り扱う荷物の荷さばき施設・保管施設があること。
付随して
荷物用のコンテナ等を扱うガントリークレーンや
保税倉庫が設置されています。
(上屋とは?)
港湾の荷さばき用倉庫のことです。
保管をおもな目的とする一般の倉庫とは区別されます。
国や自治体の港湾管理者が管理する公共施設のほか、
民間の通運会社管理のものも多数あります。
中でも保税上屋は「倉庫内が保税地域の一種」として税関手続の便宜のため外国貨物の積卸・運搬・一時的蔵置を行う場所として税関長より許可された特別な空間です。

(神戸のバナナ埠頭)
バナナ輸入量国内第二位の神戸港にある兵庫ふ頭にある
兵庫突堤はバナナ埠頭と呼ばれています。
兵庫ふ頭
兵庫ふ頭は、第1突堤から第3突堤までからなる、市民生活に直結したバナナ等の青果物を扱うふ頭として整備されています。
2001年(平成13年)7月から地下鉄海岸線が開通しました。

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